
story.01.text=§4§o%1$d好奇心に駆られた男は、その穴を覗き込んだ。%1$d──これが、この男の最大の失敗とも知らずに。

story.02.text=§4§o%1$d男は新たな生活を始めるため古い屋敷を安く購入した。%1$d田舎の村にポツンとたたずんでいた屋敷の中は荒れ果てていた。
story.03.text=§4§o%1$d「古屋敷と聞いていたが、ここまで年季があるとはな」%1$dそう思いながらも、屋敷の修復を始めるために、屋敷の奥へと進んだ。
story.04.text=§4§o%1$d進んだ先に書斎を見つけた。%1$d先住が置いていったままなのか、趣味の悪い本が並ぶ。
story.05.text=§4§o%1$dその時、男の首元に冷たい風が吹いた。
story.06.text=§4§o%1$dスススス......

story.07.text=§4§o%1$d風の音がする。隙間風だ。男は耳を傾けて風の吹く方を探す。%1$d壁の方から音がする。男が壁に近づくと握り拳ほどの穴を見つけた。
story.08.text=§4§o%1$d「穴から少し光が見える。穴の向こうには何があるんだろう」%1$d好奇心に駆られた男は、その壁穴を覗き込んだ。
story.09.text=§4§o%1$d壁穴の向こうに見えたのは隣の吹き抜けの部屋だった。%1$d冷たい隙間風が男の赤い瞳に当たって、とっさにまぶたを深くつぶった。
story.10.text=§4§o%1$dトン..タン..トン..タン..トン..タン..
story.11.text=§4§o%1$d壁穴の向こうから足音が聞こえた...。%1$d男はゆっくりまぶたを開く...。
story.12.text=§4§o%1$d男の視界がぼやける。さっきまで見えていた隣の部屋が見えない...。%1$d男は焦点を合わせるために、もう一度目を閉じて、再度開いた。

story.13.text=§4§o%1$d壁穴の向こうには深い青色が広がっていた。%1$d男はしばらく、その青を見つめていた。青の中にうっすらと、男の赤の瞳が反射する。
story.14.text=§4§o%1$d少しして男はその青の意味に気づいた。
story.15.text=§4§o%1$dその青は...瞳だった。深い青い瞳だった...。%1$d何かが壁の向こうからこちらを覗いていたのだ...。
story.16.text=§4§o%1$d男は驚きと恐怖で後ずさりした。恐怖のあまり声もでない。
story.17.text=§4§o%1$dドタドタドタドタドタドタドタドタ....
story.18.text=§4§o%1$d男はすくんだ足で急いで廊下を駆け戻り、屋敷を出た。%1$d男は仕方なく、その夜は野宿した。

story.19.text=§4§o%1$d翌日、男は村の老人に会って、屋敷のことを尋ねる。%1$d「あの屋敷は、幽霊が出るのか？」
story.20.text=§4§o%1$d老人は静かに語り始めた。%1$d「そいつは幽霊じゃないぞ。」
story.21.text=§4§o%1$d「この地域には、昔からカシラナシというバケモノが住んでいると言われておる。%1$dそのバケモノは人のような見た目だが頭部が無い。%1$d自分の頭を探すために、村中を徘徊しておるのだ。」
story.22.text=§4§o%1$d「バケモノには頭が無いので周囲が見えてない。%1$dだから人の眼球を奪って目の代わりにしようとしておるのだよ。 」
story.23.text=§4§o%1$d男はその話に多少戸惑いはした。%1$dしかし、男は老人の話を信じなかった。
story.24.text=§4§o%1$d「あの老人は部外者の俺をよく思って無いのであろう。%1$dバケモノがいると言って脅しているだけだ」%1$dそう思いながら、男は屋敷に戻った。

story.25.text=§4§o%1$d相変わらず屋敷は隙間風の音が響く。%1$d昨日に比べて、やや不穏な雰囲気も漂っている。
story.26.text=§4§o%1$d多少不気味ではあったが、屋敷の修復を始めるために、屋敷の奥へと進んだ。%1$d天井には蜘蛛の巣が、床にはコウモリの糞がこびりつき、少しツンとした匂いが鼻に刺さる。
story.27.text=§4§o%1$dスススス......%1$d風の音がする。また隙間風だ。%1$dでも昨日とは違う方から聞こえる。
story.28.text=§4§o%1$dスススス......%1$dまた隙間風だ。%1$dでも先ほどとは違う方から聞こえる。
story.29.text=§4§o%1$d男は屋敷中を確認して分かったが、書斎だけでなく%1$dどの部屋の壁にも不自然に穴が空いていることに気づいた。
story.30.text=§4§o%1$d「まったく、変な屋敷を購入しちまったな。気味が悪いよ」%1$d男はそう思いながらも、屋敷の奥にある作業室の机に腰をもたれてタバコを一服する。%1$d男は白い煙を吹かしながら、昨日見た青い瞳のことも思い出した。

story.31.text=§4§o%1$d「あの青い瞳は結局なんだったのだろう.....まさかバケモノではあるまいし....」%1$d男は気になって、近くの壁穴を覗いてみることにした。%1$d作業室の壁に開いた穴に目を近づける.....
story.32.text=§4§o%1$d壁穴の向こうは隣の台所だ。特に異変はない。%1$dしかし突然...
story.33.text=§4§o%1$dトン..タン..トン..タン..トン..タン..
story.34.text=§4§o%1$d壁穴の向こうから昨日と同じ足音が聞こえた...。%1$d男の背中はピンと伸び緊張が走る...。
story.35.text=§4§o%1$dガチャン...
story.36.text=§4§o%1$d台所の扉が開いた。誰かが入ってくる...。%1$d男は唾を飲んで壁穴を覗き続けた...。

story.37.text=§4§o%1$d（頭がない...バケモノだ....）%1$d男は絶句した。扉の奥から人型のバケモノが台所に入ってきたからだ。%1$dあの老人が言っていたことが事実だった。
story.38.text=§4§o%1$d恐怖を感じながらも、そのまま壁穴を覗き続けた。%1$dバケモノに頭部は無い。やはりバケモノはカシラナシだった。
story.39.text=§4§o%1$dしかし５つの色の違う眼球を所持している。%1$d昨日見た青い眼球は、そのうちの１つだと確信した。
story.40.text=§4§o%1$dカシラナシは台所を徘徊している。%1$d何か探しものをしているらしい。
story.41.text=§4§o%1$d「噂どおりならば、頭を探しているのだろうか...。」%1$d男がそんな疑問を抱いていた時、冷たい隙間風が壁穴から男の瞳に当たって、とっさにまぶたを深くつぶった。
story.42.text=§4§o%1$dしかし、その刹那にカシラナシが壁穴の向こうから低い声つぶやいた...。
story.43.text=§4§o%1$d§l「キミノコト.. イツモ.. ミテイルヨ..」

story.44.text=§4§o%1$d男は驚きと恐怖で後ずさりした。恐怖のあまり声もでない。
story.45.text=§4§o%1$dドタドタドタドタドタドタドタドタ....
story.46.text=§4§o%1$d男はすくんだ足で急いで廊下を駆けた。%1$dなんとか寝室に辿り着いて、寝室の窓に手をかけた。
story.47.text=§4§o%1$dしかし次の瞬間、
story.48.text=§4§o%1$dトン..タン..トン..タン..トン..タン..
story.49.text=§4§o%1$d寝室の入り口のドアの方から足音が聞こえた。
story.50.text=§4§o%1$dキィィィガチャン...
story.51.text=§4§o%1$d寝室の扉が開いてカシラナシが現れた。

story.52.text=§4§o%1$d男の足は動かない。%1$dカシラナシはゆっくりと近づき、男に向かって手を伸ばした。
story.53.text=§4§o%1$d「ドウシテ....ニゲルノ.....？」%1$dカシラナシが低い声でつぶやく。
story.54.text=§4§o%1$dカシラナシは男の腕を強い力で握り、引きずるように屋敷の中央にある暗い個室に連れていった。
story.55.text=§4§o%1$d男は恐怖のあまり声も出ない。
story.56.text=§4§o%1$d「キミノ 目玉ヲ モラオウ」%1$d再びカシラナシが低く響く声でつぶやいた。
story.57.text=§4§o%1$dカシラナシは大きく腕を振りかぶった。%1$d次の瞬間には男の血が散乱した。
story.58.text=§4§o%1$dカシラナシは男の赤い瞳を握りしめて、その場を立ち去った。

story.59.text=§4§o%1$d数日後、村人たちは屋敷を訪れた。%1$dそこには、眼球をえぐられた男の遺体が横たわっていた。
story.60.text=§4§o%1$d屋敷の壁には、いくつもの穴が開いていたが誰もその穴を覗こうとはしなかった。%1$d遺体を埋葬し、事件のあった部屋にいくつもお札を貼って除霊した。 

story.61.text=§4§o%1$d男は最期、意識が遠のく中、カシラナシが低い声でつぶやいたのが聞こえていた。
story.62.text=§4§o%1$d§l「コノ 赤い瞳モ ツカエナイ。ツギハ ダレノ瞳ヲ ウバオウカナ」%1$d